2021年1月17日日曜日

【開催報告】障害がある人の余暇活動を考える 第3回「余暇や遊びへのアクセシビリティーを考える」

 1/9(土)に、キリン福祉財団・地域のちから応援事業 連続講座「障害がある人の余暇活動を考える」第3回「余暇や遊びへのアクセシビリティーを考える」を開催致しました。

こちらのブログにて、簡単に講座の内容を紹介出来たらと思います。

まず、今回の講座のテーマでもある『アクセシビリティー』について説明します。

今回の講座の講師を務めてくださった田中さんは、講座の中で、アクセシビリティーについて下記のように説明していました。

「いかなる環境や能力、状況に関わらず サービスやコンテンツを利用できるようにすること」

北海道医療センターについての紹介

田中さんは、国立病院機構北海道医療センターの作業療法士として、筋ジストロフィーも脊髄性筋萎縮症の患者さん達の「できない」を、機械工学を用いて「できる」に変える支援を行っています。主に、家事・仕事・レクリエーションなど様々な作業活動の場面でその機能回復を図って、「まなぶ」「あそぶ」「はたらく」活動を獲得するためのリハビリテーションを行っています。

筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症の患者さん達は、機能障害が進むと段々とできることが少なくなっていきます。

田中さんは、ゲームのコントローラーを見せながら、

コンローラーを見せながら質問する田中さん

「このボタンを押すのに必要な力がどれくらいか知っていますか?」

「10g位だと思う人?」

「50g位だと思う人?」

「100g位だと思う人?」

「150g位だと思う人?」

と会場の参加者に質問し、

「正解は、100gです。から揚げで言えば4個分ぐらいですかね」

「力が弱い方にとっては、100gという私達が普段感じないボタンが硬くて押せないんですね。」

と、ゲームで遊ぶ上での障害になること教えてくれました。

このような操作のしづらさ、それから、聴こえづらさ、見えづらさ、話しづらさが、ゲームの体験を遠ざける要因になっていると田中さんは言います。

近年では、playstation4、xbox one、Nintendo switch のどの機種にも、ゲームのアクセシビリティーを変更できるようになっているという紹介がありました。

ボタンの割り振り、ハイコントラスト、拡大鏡等で、ゲームで遊ぶ際の環境を変更し、それぞれの聞こえづらさ、操作しづらさ、見えづらさを解決できるようになっています。


また、インターフェイスが発売されたことにより、小さな力でボタンを押せるように改造できるようになったことも説明してくれました。

インターフェイスを見せながら解説する田中さん


このように、ゲームアクセシビリティーが調整できるようになってきているのに、この機能が見つけづらいのが現状です。

田中さんは、「アクセシビリティーは誰のもの?」と問いかけ、


「アクセシビリティーは、障害がある人だけのものではありません。誰が使ってもいいはずなのに、ゲームアクセシビリティー機能も探さないと出てこない。でも、誰が使っても良いのだから、スタートから『あなたの見やすさはどうカスタマイズしますか?』『操作の仕方はどうカスタマイズしますか?』となってもいいのではないでしょうか?」と提案してくれました。

田中さん達が立ち上げた団体

障害がある人が、ゲームをはじめられる為のサポートをするために田中さん達が立ち上げた団体がこちらになります。相談等もできるとのことなので、是非HPを覗いてみてください。


その後、北海道医療センターの患者さんである吉成さんとぷよぷよで対戦をしました。

ぷよぷよで対戦する参加者



対戦した吉成さん。

吉成さんは、病院に入院している関係上、外部との接触があまりない生活を送っていますが、esportやゲームがあることによって、同じ趣味を持つ人一個のものを共有できたり、楽しさを共有できるとコメントしてくれました。

2人目の講師は、松平千佳さんです。

2人目の講師の松平千佳さん

松平さんは、NPO法人ホスピタルプレイ協会の代表理事を務めており、ホスピタルプレイスペシャリスト(以下HPS)をの育成に努めています。

HPSは、英国生まれの専門職で、病児や障害児が医療プロセスにおいて感じる苦痛や不安などを「遊び」の力を用いて軽減することを目的に活動しています。

病院の中に「遊び」を取り込んでいくには、多くの苦労があったそうです。

医療の現場であれば、数値化したエビデンスが欲しいと言われたそうです。

しかし、松平さんは数値化することに疑問を感じ、遊びの理論を研究し伝えていくことに方向転換をしたとのこと

そして、遊びを伝える時に、「発達」「権利」「命の輝き」という3つのことを伝えています。

この経緯は、松平さんの著書である「遊びに生きる子どもたち ハイリスク児にもっと遊びを」(金木犀舎)にも詳しく掲載されておりますので、そちらをご覧ください。

そして、HPSが遊びを用いて支援しているのは、病児や障害児だけではありません。

虐待などの被害を受けているハイリスク児への支援にも取り組んでいます。

実際に松平さんが支援しているハイリスク児への遊びの活動を紹介してもらいながら、遊びの重要性について確認していきました。


最後に、松平さんは、「乞食坊主の良寛さん」を挙げ、何故子ども達と遊ぶことが大事なのかを説明してくれました。

そして、遊びは大人が子供に「贈与」するものであるともおっしゃていました。

こうして、3回に渡る余暇に関する講座は無事開催する事ができました。


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任意活動団体YokaYoka 


任意活動団体YokaYoka(よかよか)は、「障害のある社会から、生涯楽しめる社会へ」をキーワードに、障害がある人の余暇の選択肢を増やすことを目的に活動している。主に、ボードゲームを遊ぶ事ができる「みんなのゲームクラブ」、中学生~高校生のASD児を対象とした「好きトーク」等を定期的に開催している。余暇に関する情報を発信する為に、余暇に関連した講座を企画・実施している。今年度は、連続講座「障害がある人の余暇活動について考える」を実施中である。

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