2020年12月23日水曜日

【開催報告】障害がある人の余暇活動を考える 第2回「インターネットと居場所」

こんにちは。

YokaYokaの前田です。

12/19(土)に、キリン福祉財団 キリン地域のちから応援事業の助成事業として、障害がある人の余暇活動を考える 第2回「インターネットと居場所」を開催しました。

全てを書く事はできませんが、簡単に講座の開催報告をしていきます。

今回の講座のゲストは、児童精神科医の関正樹さんです。

児童精神科医の関正樹さん

今回の講座では、インターネットやゲームの世界に子ども達がどのような居場所を見出しているのかを関さんに解説してもらいました。

フォートナイト、ポケットモンスターソード&シールド、マインクラフト、あつまれ動物の森等の具体的なゲームのタイトルが数多く出てくる講座となりました。

ゲームのタイトルが出てきたのには、理由があるんです。

関さんは、ゲームと言っても特徴が異なるため、種類によって適した区切りのつけ方があるのではと述べていました。

例えば、「30分でゲームを区切るのはどうでしょうか?」と問いかけ、

「マインクラフトでは、整地だけで終わりそうですね。」

「フォートナイトは、待機画面の時間も考慮にいれたら、1試合終わらないかも。」

「ポケモンでは、レベル上げだけで終わって、次のジムリーダーまでたどり着かないかも」

と、ゲームごとに30分で区切るという約束が、守れそうな現実的な約束であるかを説明してくれました。

大人がゲームのことを知らないと、ゲームの約束を決めることが難しいというのがわかります。関さんは、大人がゲームのことを知ってから、子ども主体で約束事を作っていき、守る側、守ってもらう側の相互が無理のない約束作りをとおっしゃていました。


SNSも同様で、危ないから辞めなさいでは、お題目と同じで、リテラシーが育たないまま大人になってしまう。どんな居場所があるかを知ったうえで、気を付けることを具体的に教えていくことが大事だと説明してくれました。


今回の講座を拝聴していて重要だと感じたのは、周囲の大人が子供の「好き」について好意的な受け止め方をすることにより、それをきっかけに子ども達の世界が広がっていくという部分です。


関さんが、「どこに行くかよりも、誰と会うかの方が大事」という言葉で説明していたように、自分の「好き」を好意的な受け止め方をする人がいるから、その人に話したくなるし、会いたくなる。そして、その人と「一緒に」やってみたいことができれば、更に世界が広がっていく。

講座内の『任意活動団体YokaYokaの活動紹介』でも説明させて頂きましたが、当団体が余暇の支援において重視している『「支援する/される」の関係から、「一緒に楽しむ〇〇君/さん」という関係へ』という考え方と共通している部分だと感じました。

更に、私達が活動している好きトーク*に関して、相手の好きを肯定される場は(=相手の好きを否定しない)他の子の好きを通じて世界が広がるきっかけになるのではないかと言及してくださり、非常に嬉しかったです。

*好きトークは、コミュゲ研の加藤さんが実施している「趣味トーク」を参考にした活動です。趣味トークについては、下記のリンクを参照ください。


更に、関さんは、講座終了後の雑談でこうもおっしゃていました。

「余暇活動は、自立にもつながる。凄い大事ですよ!!」

余暇を大事な活動だと言ってもらえたのは、当団体として非常に嬉しかったです。

関さんと一緒にボードゲーム

展示したゲームを見ながら、思い出を振りました

余暇を「余った暇」と捉えるのではなく、つながりが増え人生を豊かにする活動と言えると思います。自分の好きを大事にする場所と共有する相手がいることにより、居場所が増えていく。居場所が増えるにつれて、どんどん世界が広がっていく。この余暇を楽しもうとする過程が、自立につながっていく1つの要素であることが再度認識できました。

今回の講座を通じて、ゲームやSNS、動画配信サイト等のインターネットの空間が、多くの人にとって居場所になっていることを知ることができました。

そして、「好き」を「好き」のまま大事にしていくには、肯定的に受け止める場所や人との関係が必要だということ。

更に、このような経験や体験が「自立」に繋がっていくこともあるということ。

第3回講座「余暇や遊びへのアクセシビリティーを考える」

年があけた1/9(土)に開催する第3回「余暇や遊びへのアクセシビリティーを考える」では、今回の講座で重要だと感じた点である「好きなこと」や「楽しいこと」にそもそもアクセスしづらい環境にいる人達に、様々な工夫をしながら「楽しい」遊びや「好き」なゲームを届けている方をゲストにお呼びします。

作業療法士の田中栄一さん

作業療法士である田中栄一さんは、筋ジストロフィーも脊髄性筋萎縮症の患者さん達がゲームができるように、ゲームのコントローラーを改造する等の工夫をしています。

田中さんは、彼ら/彼女らのゲームの取り組みは、単なる余暇の時間にとどまらない仲間との貴重なコミュニケーションの場になっていると同時に健常な子ども達と同じステージに立つことができる大事な機会だと述べています。

松平千佳さん
そして、もう1人のゲストである松平千佳さんが代表理事を務めるNPO法人ホスピタルプレイ協会は、「遊びの力」に注目し、病児や障害児に遊びを届ける活動、医療に関わる子供達が、その経験を肯定的に受け止められるように「遊び」を用いて安心感を作り出す活動等を行っています。松平さんは、「遊び」には、子ども達の発達に欠かせない要素であり、子ども自身の権利でもあると述べています。

第3回「余暇や遊びへのアクセシビリティーを考える」での2人の実践を通じて、今回の講座で欠かせないとわかった「遊び」や「余暇」について一層理解を深める機会にしていきましょう!!

講座の詳細・申し込みはこちらから


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団体紹介



任意活動団体YokaYoka(よかよか)は、「障害のある社会から、生涯楽しめる社会へ」をキーワードに、障害がある人の余暇の選択肢を増やすことを目的に活動している。主に、ボードゲームを遊ぶ事ができる「みんなのゲームクラブ」、中学生~高校生のASD児を対象とした「好きトーク」等を定期的に開催している。余暇に関する情報を発信する為に、余暇に関連した講座を企画・実施している。今年度は、連続講座「障害がある人の余暇活動について考える」を実施中である。

 
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