2020年12月27日日曜日

障害がある子どもの「遊びの体験」を誰が保証するのか??

 こんにちは。

YokaYokaの前田です。


皆さんは、「遊び」と聞いて、まず何を思い浮かべますか?


人によって思い浮かぶ「遊び」は様々だと思いますが、私の場合は「公園」がまず思い浮かびます。

放課後等デイサービスという事業に関わっているので、他の人に比べると公園に行く機会は多い方だと思います。

公園に行くと、子ども達と鬼ごっこで遊ぶ事が多いですね。

公園があるおかげで、多くの子ども達は遊びの体験をすることができます。

私達の団体が活動をしている静岡市のHPによると、市内の公園の数は全部で519ヶ所あるそうです。

そして、HPには公園の機能と役割として下記の4点が挙げられています。その内の1つが、子どもの遊びの機会を保証する為の場所と思われる記述があります。

公園の機能と役割

(1)すべての人のための身近で安全な憩いの場として機能します。

(2)都市住民の休息、運動、レクリエーションなどを行う場として機能します。

(3)公園内に緑を確保することで都市景観の向上、動植物の生息地を保全する役割を果たします。

(4)災害時に一時避難地としての役割を果たします。

⑵都市住民の休息、運動、レクリエーションなどを行う場として機能しますという箇所が、子ども達の遊びについて触れていると思われる箇所です。

しかし、放課後等デイサービスを利用している子どもの中には、この機能を活用できない子ども達もいます。

肢体になんらかの障害がある子どもは、遊具の設計上公園で遊ぶことは難しいです。

欧米では、UD公園という誰もが遊べる為の遊具の配置や工夫がされている公園があります。


こちらの「みーんなの公園」というHPでは、海外のUD公園の事例が数多く紹介されています。

日本国内において、UD公園はまだ少ないようですが、最近の動きとして東京都の都立砧公園では障害がある子どももない子ども一緒に遊べる遊具の設置が2020年の6月に完了したそうです。

こちらは、都議会議員の龍円さんを中心に、都議会で必要性を訴え、実現に至ったようです。

こういった動きが出てくるのは非常に良いことですし、学校以外の場でもこのようなインクルーシブな場所を作っていく必要があると思います。

砧公園に続いて、都内にとしまキッズパークという公園も秋に完成したようです。

しかし、全ての公園の遊具を直ぐに入れ替えることはできません。

こちらの都立砧公園も、調査研究に1年、設計と工事に1年の計2年の時間を要しています

その期間の子ども達の遊びの体験は、保証されないまま時間が過ぎていしまいます。


更に、そもそも公園にアクセスできない子ども達もいます。

ここからは、工夫で子ども達の遊びや余暇の時間を充実するために活動している方達を紹介します。


田中さんは、国立病院機構北海道医療センターで作業療法士として、筋ジストロフィーも脊髄性筋萎縮症の患者さん達の「できない」を、機械工学を用いて「できる」に変える支援を行っています。主に、家事・仕事・レクリエーションなど様々な作業活動の場面でその機能回復を図って、「まなぶ」「あそぶ」「はたらく」活動を獲得するためのリハビリテーションを行っています。

上記のサイトの田中さんのインタビューによると、筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症の患者さん達の余暇の時間は、身体を大きく動かすスポーツ等は難しい。そこで、身近にあって遊ぶ事ができたのが、ゲームだったそうです。

治療やリハビリの時間、食事やお風呂の時間のほかは自由時間ですね。といっても当院の患者さんは、身体を大きく動かす運動は困難です。走ったり、跳んだり、ボールを投げたり蹴ったり、外でスポーツをしたりはできません。そんな彼らにとって、最も接しやすいのがゲームなんですよ。ゲームだったら、工夫次第で健康な子どもたちと同じように遊ぶことができますからね。

ゲームでは、工夫次第で健常な子ども達と一緒に遊ぶことができます。そして、ゲームの時間が、余暇の時間以上の存在であることを田中さんはインタビューの中で述べています。

彼らにとってゲームのある生活というのは、単に余暇時間という意味にとどまらないんですね。仲間と競い合ったり、協力し合ったりして、その成果を分かち合う。そういった仲間との貴重なコミュニケーションの時間となっているんで

最近では、障害がある人のゲーム活動として、パラesportsという分野もあるようです。

下記のサイトでは、様々な障害がある当事者の方が、ゲームの楽しみ方について投稿しています。

2人目は、NPO法人ホスピタルプレイ協会の代表理事を務める松平千佳さんです。

松平さんは、2006年に英国で「遊びの専門家」としてのHospital Play specialist(以下HPS)に出会いました。

HPSとは、遊びの専門家です

病院に入院している病児、虐待を受けた被虐待児などのハイリスク児に、様々な技法と工夫を用いて遊びを届けています。

そして、多くの子ども達に遊びを届ける為、HPS養成講座を全国で開催し、遊びの専門家の養成を行っています。

松平さんは、遊びは子ども達の「権利」であり、「発達」に欠かせないものであり、「命を輝かせる」ものだと著書である『遊びに生きる子ども達 ハイリスク児にもっと遊びを』の中で述べています。

実践をされている方を簡単にですが紹介させて頂きました。

このことからも、誰にとっても「遊びの体験」や「余暇の時間」が重要であることがわかります。

そこで今回紹介した田中栄一*さんと松平千佳さんをお招きし、2人から遊びやゲームを届ける為の工夫や実践を紹介して頂く講座を開催します。
*田中栄一さんは、zoomでの出演になります。

障害福祉に携わる方、保護者、eパラsports、看護士、作業療法士、余暇や遊びについて興味がある方達と、この講座を通じて障害がある人の「遊び」「余暇」について一緒に考える機会にしていけたらと思います。

講座の詳細・申し込みは↓↓↓

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任意活動団体YokaYoka(よかよか)は、「障害のある社会から、生涯楽しめる社会へ」をキーワードに、障害がある人の余暇の選択肢を増やすことを目的に活動している。主に、ボードゲームを遊ぶ事ができる「みんなのゲームクラブ」、中学生~高校生のASD児を対象とした「好きトーク」等を定期的に開催している。余暇に関する情報を発信する為に、余暇に関連した講座を企画・実施している。今年度は、連続講座「障害がある人の余暇活動について考える」を実施中である。

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